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モチベーションの基礎──進化的欲求ピラミッドで行動の起源に目を向ける

我々はモチベーションに振り回されて生きている。

やる気がなければ嫌な仕事や勉強だって乗り越えられないし、だからやる気スイッチを押せない日は諦めるしかない。

こんな事を言うと、「いやいや、人間には理性があるのだからやる気のある無しに関わらずやるべき事はこなせるだろう?」という声がどこからか聞こえてくる。 全くもってその通りだ。

全世界の人々がモチベーションの高まりを待って仕事や勉強をしていたら、たちまち社会は崩壊してしまうだろう。だから自身のモチベーションを様々な方法でハックしようとしている——いつだって「やる気」に関する本はベストセラーだ。

 

中でもモチベーションの高め方を四六時中考えているのが教育に携わる者達であろう。 誰しも、勉強が好きな訳ではないし、そんな子達に少しでも自主的に学んでみたいと思わせる工夫を試行錯誤している。   私だって“進化教育学”という馴染みのない領域を知ってもらい「どうしたら他の記事も読んでみたいと感じてもらえるのか?」と悩みに悩んでいる。

 

教員でなくても、「教える」・「伝える」を生業としている人達には常に他者の動機づけ課題がつきまとうはずだ。   そこで本稿も「5秒間手をつけるとドーパミンが出て……」といったライフハックをお届けしてもよいのだが、当サイトは進化の観点から物事を解釈して一つの見方を提供するのがコンセプトに掲げているので別の道を辿りたい。 進化的な学問は、生存と繁殖の成功に寄与した機能が選択され今日の生物を形作った、という前提から話を始める。

 

従って、動機づけのシステムを解明していくには、人間にかかった淘汰圧(適応してきた環境条件)を明らかにし、どのように脳の報酬システムが配線されてきたのかを考えなければならない。 しかしながら、範囲広すぎて一つの記事にすると何十万字も必要になってしまう可能性が高いので、動機の話は何回かに分け、本稿ではまず大枠の解説をすることにしよう。

“動機”と“欲求”

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